パオの映画は "いのち、愛、共に生きる"

企画制作パオ有限会社
財団法人東京女性財団助成作品 第17回山路ふみ子映画賞福祉賞 
第25回日本カトリック映画賞最優秀映画賞 第20回藤本賞特別賞

老親ろうしん

介護の原点は、対等な人間関係にこそある。人としての自立、高齢者の自立をテーマにした映画です。老親介護の生活を描くなかで、老いる・生きるとは何かを問い直します。

2000年度作品/カラー/112分/35mm,スタンダード

監督:槙坪夛鶴子

原作:門野晴子 老親を棄てられますか(主婦の友社 講談社) 寝たきり婆あ猛語録(講談社)

出演:萬田久子 草笛光子 米倉斉加年 
榎木孝明 岡本綾 小笠原町子 小林桂樹

『老親ろうしん』予告編(2:47)© パオ

企画意図

介護の原点は、対等な人間関係にあるのでは……。

この映画では、老親介護の生活を描くなかで、性別役割分担や、女の生きかたを問い直し、高齢者の自立をテーマにしてます。何もせずにお殿さまで生きてきた舅が、初めて一人の人間として元嫁と対等に向き合うことができた時、自立し、いのち輝かせるという感動。介護する人・される人の人権を保障し、その人らしく生きるためになにが大切なのか。この映画を観た人が、老親介護、なかでも介護保険を自分たちの問題として捉え、生き方・老い方について話し合うきっかけになれば……と願ってます。

監督 槙坪夛鶴子

ものがたり

長男の嫁で専業主婦の成子(萬田久子)は、姑の死後、子どもと共に東京を離れ、残されたオトノサマ舅・兼重(小林桂樹)と奈良斑鳩(いかるが)で7年間を一緒にすごす。舅との関係に疲れきっていた成子は、子どもの自立とともにある決意をする。その頃かつて元気だった実母まさ(草笛光子)も、歩けなくなってしまい、兄弟間でたらいまわしにあっている。 事あるごとに長女長女と成子を叱咤してきた母とは犬猿の仲。「どんなことがあっても私は看ないから!」と宣言する成子だが……。

夫(榎木孝明)と離婚、「家」や「嫁」から解放され、娘(岡本綾)と東京に戻り自立を志す。ところが他人になったはずの兼重が「ただいまぁ」と転がり込んで来て……。 説得しても動じない、気づけば奇妙な同居生活がはじまっていた。

老親ろうしん写真1 老親ろうしん写真2 老親ろうしん写真3

原作者のコメント

末期癌の実父の介護に実母を助け、その最中に姑が脳溢血で逝き、オトノサマの舅が残され……とこの映画に描かれた通りのヨメ道を歩いたあげく、「家」残滓から脱走した。舅が追いかけて来て思いがけない「蜜月」を見たことが映画のクライマックス。四人目の老親、実母の介護がはや九年。自分の人生の主人公に成りたくて、離婚したにも関わらず、親の為に通算二十四年間も生きているうちに、今年で六十三歳、立派な婆あとなってしまった。私の時間を返せ!と誰に向かって吠えればいいのか。槙坪監督が車椅子で、その脇には痴呆の母親というコンビで撮影をしていた。女が歯を食いしばって介護する国なんて、男も幸せであるはずが無い。優しく老若男女が共生する社会こそ未来も輝くのでしょう。

原作 門野晴子

この映画を推薦します

私は母の介護を十一年間、自宅で行ったが、それは想像以上に悪戦苦闘の毎日だった。そして、母が九十七歳で死んだ時、気がつけば私自身も老人のお仲間になっていた。誰もが老いてゆく。そして誰もが人間としての尊厳をもって生き、死にたいと望んでいる。人は老いの問題と真剣に対峙せざるを得ないのである。槙坪夛鶴子監督の老親ろうしんは、原作者門野晴子さんの体験に基づく老人介護の生活を、感動的に描く。 槙坪さん自身も、老親を介護しながらの撮影だった。この映画の中には、日本女性たちの希望が一杯つまっていて、見る者に勇気と共感を与えてくれる。

この作品は、介護保険が実施される以前の物語だが、この制度も女性たちの叫びをくみ取って、より良くなっていくことを、切に願っている。

岩波ホール総支配人 高野悦子

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